農産物の暫定基準値は、体に影響する数値の0・00005%

 政府は福島や茨城など4県に対し、食品衛生法の暫定基準値を超える放射性物質が検出された一部の農産物について出荷制限を指示した。心配になっている人も多いと思うが、今回の暫定基準値は国際的にも極めて厳格な基準であり、現状では健康に影響しない状態であることも、ぜひ理解してもらいたい。


 例えば、体内に体内に入ると、のど仏の下にある甲状腺に集まり、甲状腺がんの原因となる恐れがある放射性ヨウ素。この暫定基準値は1キロあたり2千ベクレルだが、この暫定基準値と同じ放射性物質が付着したホウレンソウを食べても、実は1日分100グラムを食べても約0・005ミリシーベルトにしかならない。

 私たちは普通に生活していても年間約2・4ミリシーベルトの自然放射線を受けているが、暫定基準値レベルのヨウ素なら、その0・21%。さらに、一般に人体に影響する線量は、一度に約100ミリシーベルトとされているが、それに比べると、わずか0・00005%にすぎない。


 21日までにホウレンソウから検出されたヨウ素で、最も測定値が高かったのは1キロあたり5万4100ベクレルという数値だが、これにしても1日100グラムを食で約0・13ミリシーベルト。年間に自然界から受ける放射線量の約5%、人体に影響のある線量の0・0013%だ。健康に影響する線量ではない。